(小説)black sheep

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Epilogue

彼女の顔を見るたびに、僕はまだ稚拙だったあの頃を思い出す。 彼女の声を聞くたびに、僕はまだ不安だったあの頃を思い出す。 彼女の曲を聴くたびに、僕はまた涙で溺れそうになってしまう。 彼女の髪を嗅ぐたびに、僕はまた追いかけてし...
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Last act

三年後――。 まだシベリアに帰らない冬の空気が街路樹で迷子になっている3月初旬頃。久々に岡山に帰ってきた僕は自分の車で近所を運転していた。その最中で佐々木の家の前を横切ってみるが、佐々木と過ごした平屋は既に取り崩されていた。現...
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act.9 意外な死因

昨夜の大雨が嘘だったみたいによく晴れた翌朝。その悪夢のような知らせは何の前触れもなく訪れた。 相変わらず寝起きの片頭痛は続き、日増しに痛みも大きくなっている気がする。近頃は痛みに加えて痒みも出てきた。額を指先で掻き過ぎて横に長い一本の...
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act.8 最後の姿

春の風が心地良く心の髪を優しく撫でる四月の初旬。この学校に入って三度目の桜の開花を見守りながら、僕も無事に三年生へと進級した。 最近は朝起きると右のこめかみ部分から額の中心にかけて電気が走るような片頭痛を患っていた。しかし、朝食を食べ...
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act.7 大塚用デモ

「大塚君の成績は目立って悪いところもなく、普段の生活態度も真面目で何も問題ありません。今後、進学か就職か、何か具体的な目標はありますか?」 不機嫌な灰色の冬空が続く二月下旬、僕は曖昧な未来を睨みながら三者面談に挑んでいた。いつも使用し...
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act.6 未知なる怒り

それは夏休みを目前に控えた金曜日のこと。 「ちょっと幸太、これ見て!」 佐々木にしては珍しく興奮気味に自分のスマホ画面を僕にかざして見せる。母と出会った日を境に佐々木は僕のことを下の名前で呼ぶようになった。色んな距離が近づいてい...
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act.5  納得するまで彷徨うがいいわ

『晴れの国』と大々的に謳っている岡山だが、流石に五月の後半ともなれば灰色の雲に覆われる日が多くなってきた。更に湿度も高くなり、遂にアノ季節がやって来た。 テレビを点けると天気予報士が「本日、気象庁から中四国地方全般が梅雨入りしたと発表...
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act.4 最後に恋人らしいこと

翌朝、いつもより三0分ほど早く学校に着いたが、やはり教室の中には既に佐々木の姿があった。それ以外の生徒は居なく、いつも通りの静寂に包まれた風景が広がっていた。しかし佐々木の表情はいつもの詰まらなそうな無表情とは異なり、僕を見るなり意味ありげ...
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act.3 「所謂、恋愛ごっこ」

時の流れをうまく掴めないまま、気付けばゴールデンウィークも最終日を迎えていた。何の予定もなかった僕は、あの夜から三日後にインターネット上に公開された佐々木の楽曲を聴きながら、地道に再生数を増やしていた。無駄に時間を殺している実感はあるのに、...
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act.2 その時のブラジャー

翌日。いつもの時間に教室に入るが佐々木の姿はなかった。何とか佐々木と会話を弾ませようと最新の洋楽情報やギターに関する豆知識を準備していたのに。昨日の盗み聞きを未だに怒っているのだろうか? そんな不安を募らせながら自分の席に着き、黒板の...
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