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ブラックバード-飛べない鳥の旅路より-

ブラックバード-「飛べない鳥の旅路」より- 5章

打ち合わせが済んだ頃には、すっかりと日が暮れていた。 長い刑期を終えて、久々に自由を手にした気分だ。 しかし、未だに重い頭痛と酷い疲労が全身に充満している状態は未だ変わらず、僕は壊れかけのロボットみたいな歩き方で1階に降りる。 すると...
ブラックバード-飛べない鳥の旅路より-

ブラックバード-「飛べない鳥の旅路」より- 4章

酷い頭痛で目覚めたのは正午を少し過ぎた辺りだった。 翌日が休日だからと言って二日酔いに良い事なんて何一つない。 この瞬間だけは人生で二度と二日酔いなんて誓うのだが、二日酔いが治る頃にはそんな稚拙な誓いは忘却の彼方だ。 この家は自宅兼事...
ブラックバード-飛べない鳥の旅路より-

ブラックバード-「飛べない鳥の旅路」より- 3章

――今から4年前。 国内の大手レコード会社3社が合同で大規模オーディションを開催した。 音楽専門誌だけでなく地上波のテレビCMでも大々的に宣伝され、世間の注目を随分と浴びていた。 軒並み、当時の音楽番組のコマーシャルは漏れなく流れ...
ブラックバード-飛べない鳥の旅路より-

ブラックバード-「飛べない鳥の旅路」より- 2章

大勢の観客を前にしても、一切怯む事の無い、寧ろ普段以上に堂々とした立ち居振る舞いでステージをこなす。 更に芯の通った歌声も加わり、視覚と聴力で観客の感情を激しく揺さぶりながら確実に心を掴み続ける。 バックステージにある小さなモニターで見...
ブラックバード-飛べない鳥の旅路より-

ブラックバード-「飛べない鳥の旅路」より- 1章

日本武道館・バックステージ通路沿い。 開場して数分も経たないうちに早くも多くの足音や雑談がバックステージにまで響いてきた。 そんな気配を感じ取ったスタッフたちを始め、この場に居るスタイリストやツアーマネジャーたちも落ち着かない様子で...
ブラックバード-飛べない鳥の旅路より-

ブラックバード-「飛べない鳥の旅路」より- 序章

黒いペストマスクみたいな仮面を被った男がパソコンの前に座っている。しかし今は中世ヨーロッパでも無ければ、現在は2008年で当然ながらペストも流行していない。その証拠に男の仮面の口元部分と後頭部はしっかりと露出している。まるで覆面レスラーみた...
0-9ショートストーリー

ダダタイダダダ その3

2022年 8月8日(月) 午前11時43分。 プエブロウェスト。 とある美術コンテストに出品した作品が世界中で注目される程の物議を醸す。 その作品は新人アーティスト部門の「デジタルアート・デジタル加工写真」分野で1位に選ばれ...
0-9ショートストーリー

ダダタイダダダ その2

第二次世界大戦は多くの人々に暗い影を残した。 また多くの芸術家の運命をも翻弄し、芸術自体の生末も変化しざる得なかった。 戦場となったヨーロッパ全域とは対照的に、無傷のまま戦争を終えたアメリカ本土は 未だかつてないまでの繁栄期を迎えてい...
0-9ショートストーリー

ダダタイダダダ その1

「この世界は創造と破壊の繰り返しだ。  そして芸術とは国権と民権、或いは権力と自由との闘いなのだ」 そう言い残して、とある芸術家は全身にガソリンを被って焼身自殺を図った。 それまでの芸術とは、権力者の依頼によって報酬を得られるのが...
0-9ショートストーリー

剥き出しインセキュリティ、或いは、崩壊前夜のワンダーランド

「ハロー、ハロー、無能ガール」と私の頭上で黄色いカラスが嘲笑う。 産まれたてのヒヨコみたいな穢れのない綺麗な羽毛に包まれた憎たらしいカラス。 「今、何歳ですか? もういい加減に気付けよ、無能ガール」と眼光を鋭く光らせカラスが鳴く。 ...
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